センター試験生物、染色体は何本?

センター試験が終わった。昨日の札幌は大雪で、受験生は会場まで行くのに大苦戦していたようだ。多くの大学で1時間遅れた開始となり、その点の対応は良かったと思う。(追記;その後、北海道教育大札幌校などで1時間遅らせても試験に間に合わない受験生が多く出たことを知った。あの雪ではしかたがないとはいえ、受験生の気持ちを思うと、心理的な面を含め対応は十分に行わなければならない。)
ところで、昨日、さっそく生物?の問題を解いてみた。特に出題に問題があるという感じは受けず、例年より易しくなっていて、今年の生物選択者は高得点をマークするだろうと感じた。
しかしである。昨日から今日にかけて、自分が入っているいくつかのMLなどで、第2問の問3の染色体の数を訊く問題に疑問を発する生物教師や大学・予備校等の教師がいる。つまり、減数分裂第一分裂中期での染色体の数を訊く問題で、2n=24の個体だから、対合して二価染色体になっているので半分の12本というのが正解という説への疑問である。
二価染色体は2本の染色体からなっているのではないか?もしそう考えれば答えは24本だ。
自分は学部生時代、染色体の研究をしていたので、二価染色体の像は多く見ているが、これは2本と数えられるような像ではけっしてない。だから、何の疑問も感じずにすらすらと解いてしまった。
しかしながら、高校生にとってはどうだろう。高校の教科書の模式図や参考書・問題集等では、理解しやすいように2本の棒状の染色体がそのまま合わさった図が多く使われる。確かに図説等の補助教材では減数分裂の像の写真は豊富だ。けれども昨今の高校生は経済的な問題から図説を買わない場合もある。また、実験で減数分裂を見せている高校教師は極めて少ないのではないだろうか。教科書にも減数分裂の写真は取り上げられているが、現在の高校生物教科書をすべて確認してみる必要があるだろう。
そして何よりも、先ほど述べた二価染色体は2本の染色体からなっている、という論理的矛盾のない解答を導き出したと考える生徒に、顕微鏡の二価染色体像の提示がどれだけ意味をもち説得性があるか、ということが問題になろう。
専門性にとらわれた解答は、一般の高校生、浪人生にとって、奇異に感じることもあるのかもしれない。受験生にとって押しつけでない説得性のある説明が必要になる。

追記:その後、問題をもう一度確認したら、‘観察される’染色体数を問うてあった。‘観察される’数と考えるのが自然な解釈ではある。高校で実験はできなくても、教科書に顕微鏡写真があればよく見ておくように!という話に落ち着くのだろうか。染色体とは何を指すのか(染色分体も染色体、二価染色体も染色体、という広義の意味にとるのか)、という定義の問題は残るが・・・。