CoSTEPな一日(5期修了式)

これまで政府の振興調整費の援助を受け、順調に活動してきた北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(通称CoSTEP)だが、本日、いよいよ予定の5年間の任務を全うし、次の段階へとステップを踏むことになった。私自身は、CoSTEP1期〜5期までのすべての修了式に出席という快挙を成し遂げた。皆勤賞ものである。そこで、ちょっとばかり5期修了式の様子をご報告しておこう。

■午前の部
・恒例の杉山滋郎代表によるパワポを用いてのCoSTEPカリキュラム紹介と挨拶
・各実習グループごとの成果発表。次の6グループが各グループ10分程度
 ‐映像表現実習(受講生4名)
   2名の方は海外で調査中や就職活動の関係で出席できず,残りの2名の方での発表だった。
   おひとりおひとりが映像作品を作られたのだが,今回の発表は,実習によってスキルを獲得していった様子の振り返りだった(映像作品は昼休みに流された)。
   印象に残ったのは,「空撮」プロジェクト.ラジコンを飛ばし,普段は見れない視角から撮影をされるという工夫が光っていた。
 ‐グラフィックデザイン(同3名)
   「電子科学絵本」を製作,という大きな成果があった。次のURLで見ることができる。
    http://bit.ly/dCcy5z
   そのほか、ポスターのデザインなどを10点ほど行われていた。カフェのポスターがきっかけとなり、女性研究者支援室などとのネットワークが広がっていったそうだ。
 ‐広報メディア企画・製作(同10名)
   大きな成果は、リテラ・ポプリ(北大の広報誌)の最新号をCoSTEPが全面的に引き受けて作ってしまったこと。
   今回の号の前の2つの号も特集記事を担当し,好評だったようだ。
   最新号は,これまでのリテラ・ポプリとは大きくデザインも一新し,新しい雑誌に生まれ変わった。
 ‐ラジオ番組制作(同6名)
   全員で、生ラジオ放送をその場でやってくれた。杉岡滋郎というロケット研究歴50年のお固い研究者が、科学技術コミュニケーターに出会い、考え方が変わっていく。ついには、CoSTEPを受講してしまい、ラジオ番組をつくってしまう、という寸劇だった。効果音をうまく利用していた。
 ‐選科A(40名以上)
   イベントの企画について学ぶグループ。集中実習2日間でサイエンス・シャッフルという本番企画までいってしまうという無謀スケジュールの状況と,ネットを利用してSkypeを用いた学習会をしていたことが報告された。
   東京やドイツの受講生は、その地で企画を行ったことの報告もあった。
 ‐選科B(人数?)
   革新的なサイエンス・ライティングの方法として、担当教員が、「モジュール・ライティング」という概念を作られ、厳しい合宿トレーニングを経て、サイエンス・ライティングのノウハウを学んだとのご報告。
   北大の先生にインタビューして、妥協を許さない記事を書いたそうだ。

■ポスターセッション
5期の皆さん以外からあえて2つだけ紹介すると、
・CoSTEP応援団;日本地図に各地の団員のつぶやきを貼り付けたもの団員の写真がちりばめられ,表現のセンスの良さが光った。CoSTEPが進行調整費での任務を終えたことに応じ、応援団は4月から、GoSTEPという名で再スタートする。
・1期生3名と3期生1名による、「科学技術コミュニケーターを仕事にする」の作品発表。科学技術コミュニケーションを主たる仕事にしてしまった修了生、中村景子さん,川本思心さん,M姫さん,楢木佑佳さんによる各人1スペース×4名のどでかいポスター発表。サブ・タイトルも,各人ごとに、「研究が変わる」,「博士が変わる」・・・等々で,各種雑誌の表紙を一度スキャンしてデザインし直し、パロった笑える自己紹介。これは面白かった!売り出し中の科学技術コミュニケーターさん大活躍だ☆

■午後の部(シンポジウム)
4名のゲストの皆さんを迎え、CoSTEPの渡辺先生の司会で行われた。
内容は、u-streamで実況中継され、twitterで各地の視聴者からの意見コメントがあった。
http://www.ustream.tv/channel/costep-sympo
http://search.twitter.com/search?q=%23scsympo

私は、ちょっと疲れていたので、コメントはさし控えるが、シンポの終わりの方でのやりとりのみ紹介しておこう。

会場からの質問;「科学技術コミュニケーションが社会に与えたインパクトは?」

杉山代表からの答;「5年前は,科学技術コミュニケーションなんて言葉を言っても,誰も知る人がいなかった.しかし,今,日本全国にサイエンス・カフェが普及し,○○カフェとつくものが,どんどん広がっている。」
「これから先は,科学技術コミュニケーターの量よりも質に重点をおいていかなければならない。」