STS教育を再考する

日本の場合、STS教育(科学‐技術‐社会の相互作用についての教育)の最大のピークは1990年代であったろう。しかしながら、現在に至るまで、STS教育はうまくいったとは言えない状況のようである。なぜだろう?

その原因は複合的なものと考えられるが、いくつか要点を指摘してみよう。

1)科学技術社会論の研究者と、科学者・科学教育研究者(多数派)との考え方に大きな溝があり、そのことが両者のコミュニティの交流を妨げ、対立的な構造があったのではないか。

2)いわゆる受験のための教育が展開されることにより、例えば学校での理科教育では、受験に出る「自然科学」の知識の獲得に重点がおかれてしまうこと。

3)STSの教育内容を、カリキュラム上のどこに置くかという問題。
(例えば、理科で教える、社会科で教える、技術科・家庭科で教える、これらのさまざまな教科にまたがって教える、など、さまざまな意見があろう。)

で、ほかにもいろいろ考えられようが、それについては、また、徐々に書いていくことにしよう。